2008年03月20日

「器用」がもたらすもの

自分で言うのもどうかと思いますが、私はどちらかというと器用なほうです。だから結構いろんなことができてしまいます。器用な反面、オリジナリティというのものが見えづらくなることがあり、悩んだりすることもあるわけで。

最近、たまたま文字を書くことや写真を撮ることを依頼されるのが重なったため、その求めに応じて器用に対処したつもりが、なかなか先方の望んでいたものと違ったものになっていたようで、その修正に応じることもまた器用にできてしまうとなると、いったい自分の本質はどこにあるんだろうと思うわけです。

基本的には依頼主に満足してもらうことが大切なわけですが、こちらとしてもそれなりのクリエイター精神といいますか、プライドもあるわけで、その両立が難しいわけです。

若い頃は正直、そういうことが分からず、我を通したせいで依頼主に迷惑をかけてしまったこともありました。今でもコミュニケーション不足の際には行き違いがあったりしますが、できるだけ自分のプライドを外に出さないように気をつけるようにしてます。

そもそもプライドというものの中には、目の前の仕事に対して評価があってしかるべきもの、という種類のものと、人生の指針にかかわるものの2種類があると思うのです。

若いときにはそのどちらにも同じような反応をしてしまい、前者のときにカッとなってた自分が恥ずかしくて仕方ありません。

また、人から何かを頼まれるときに対価を求められている場合には、その期待に十分に応えることが「プロ」としての条件だということが今さらながら身に染みてわかってきたのです。なんて生半可な若者みたいなことを言っているんでしょう、私は。

依頼者の立場から考えてみる


一方で、私は社長や編集者の立場で人にモノを頼むときに気をつけることは、依頼された人のプライドを傷つけないようにしないといけないってこと。これがまた難しいのです。

私は器用なので(苦笑)、あまり難しいわけではありませんが、世の中の多くの人は結構難しいと思っているはず。

求めているものと違ったものが上がってきたときに、どうやって相手に理解してもらって、こちらの求めているものに近いものにしてもらうか、というのは、とても高度なコミュニケーション能力が必要となります。なにせ「求めているもの」をはっきり言葉で示し、相手のプライドをくすぐるような形で相手の能力を引き出すわけですから。

マンガの編集者と作家の関係がこれにわりと近いのかもしれませんね。

編集者とライター、編集者とカメラマンもそれに近い関係なのかもしれませんが、編集者側にコミュニケーション能力がないと、ライターやカメラマンは結構振り回されます。昔も今もそういった軋轢は繰り返されています。

じゃあ逆にライターやカメラマンはコミュニケーション能力は必要ないかというと決してそういうわけではありません。編集者の求めているものを理解し、その期待に応えつつ、自分にしかできないことをプラスアルファすることで互いに満足感が得られるというわけです。

頼む側も頼まれる側も共存共栄がいいわけです。

器用な人の芯


私が器用なだけに、私よりも器用な人にはなかなか会うことはありません。とはいえ、実に器用に多彩な仕事をこなす方もおられます。そういう方を見ていると、自分と同様に“核”となる部分が非常にわかりづらいので、私もきっとそう見られてるんだろうな、という感じはします。

私の“核”はどこにあるんだろう……きっと“器用な技術”でないところにあることだけは確かなんです。でも私自身、よくわからない。たぶん「心」「精神」だろうと私は思ってます。でもそれが果たして人様にどのぐらい伝わっているのかはまだ自信がありません。

私は永遠の心配性です。

ただ最近少しだけわかってきたことがあります。私と同じような器用さを持っている方に、たぶんですが、私の「心」「精神」が見えているのではないかという感覚がしてきているのです。「器用な技術」ではなく「心」として。

一応、私個人の話はここまでで、私は精神的に落ち着いた(笑)のですが、読者の方はこれで終わったわけではありません。話を置き換える作業が残っています。

グラビア撮影における器用さ


今まで書いてきたことをグラビア撮影に置き換えるとどうなるでしょう。

このブログを読んでくれてるあなたが、編集者だったら? カメラマンだったら? グラビアアイドルだったら? もしあなたが器用なほうだったらどうしますか?

私はグラビアの現場では編集者兼カメラマンなので、どういう絵が撮りたいかというのは一応はカメラマンとしての技術の範囲ではわかっているつもりです。それをグラビアアイドルとどうコミュニケーションを取っていくか。また、マネージャーとの信頼関係を保ちながらちょっと大人な雰囲気の絵をどうやって撮るのか、というのは簡単なようでとても難しい話です。

タレントとの信頼関係を築くためには本当はそれなりの時間が必要なんですが、逆の考え方もあります。それは音楽のセッションと同じ。だから「フォトセッション」という言葉の使い方はかなり正しいのです。音楽のセッションでフィーリングがばっちり合えば互いの求めているものがすぐに分かり合えるので、話をしなくてもいい結果が得られます。写真も同じです。

私は音楽歴のほうが長いので、音楽のセッション(ジャムセッション)の場合で言うと、もし相手とフィーリングが合わなければ、言葉によるコミュニケーションをどれだけ時間かけて取ってもなかなかいい結果(作品)が出にくいことが経験上、わかっています。たぶん写真もそうなんでしょうけど、まだ私自身は、悪あがきして、言葉によるコミュニケーションを大切にしながら、よりよい結果を出そうと努力をしています。

「フィーリング」という言葉の裏には感性だけでなく、互いの経験や世界観までもが含まれているんだと思います。

少し視点を変えてみましょう。
もしあなたがアイドルの立場だったら?

器用なグラビアアイドルなら、カメラマンが求めていることが瞬時にわかり、それに合わせることができるはずです。少なくとも、それはカメラマン、編集者、読者の求めているものに近くはなっているはずです。

ただ、それが本人の個性を示しているのかどうかは正直わかりません。
でも、器用な人は重宝されます。仕事が順調にやってきます。関係者に好かれます。

自分が器用な立場から申せば、器用なアイドルは個性を出すのがかえって難しいのかもしれません。どうしたらいいんでしょう。自分のプライドを捨てるつもりで、カメラマン、編集者、マネージャーと自分の方向性、見せ方を話し合ってみる時間を持ってみるといいかもしれません。正直、そういう時間があれば、私も“器用な”グラビアアイドルととことんお話しがしたいです。

私のつたない経験から言うと“器用な”グラビアアイドルは滅多にいません。数をこなしている人は、自分の“型”(パターン)を押し通す人が多いです。私が取材カメラマンだから甘く見られているかもしれませんが、きっとそうじゃないです。「セッション」という概念がわからず、それを楽しもうとしてないんじゃないかと思うんです。私のバックボーンが足りないせいもあるのでしょうけど。

私に「セッション」の楽しさを教えてくれた、あるいはセッションをお互いに楽しめたのは武田真理子さん、堀口としみさん、相澤仁美さん、松金洋子さんぐらいしかいないんですよ、正直なところ。彼女たちは女性としての美しさの見せ方をよく知っていて、しかもこちらの求めていることも感じ取ってくれる数少ない偉大なアイドルなのです。

ですから逆に、新人のほうが、「セッション」の楽しみ方を学んでもらいながら、私のほうも楽しむことができるので、気楽というか、新鮮な気持ちで臨むことができるんですね。

視点を変えましょうか。
もしあなたがカメラマンの立場だったら?

編集者からはこういう絵が欲しいと言われます。でもマネージャーやタレントとの信頼関係がまだできていません。プロのカメラマンだったら、それなりにうまく立ち回って最低限の仕事はできるでしょう。器用ならばもう少し、いいものが上がってくるでしょう。

その先は? ごめんなさい。私にはわからないです。まだカメラマンとしての修行が足りなすぎるので……。

最近立て続けに2回取材した谷麻紗美ちゃん。彼女は最近すごい「セッション」を楽しんでいる様子です。私も撮ってて楽しくてたまりませんでした。それが写真として仕上がったときに、その「空気」のようなものが伝わっていれば私も少しレベルアップしてきたと言えるんでしょうけど。いずれアップされる記事もお楽しみに。
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posted at 05:06│コメント(1)雑談 

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この記事へのコメント

1. Posted by ピーナッツ   2009年07月24日 18:09
「器用」ってなんだろう?むずかしいですね。
よく、プロ野球のピッチヤーなんかは、「不器用」な人の方が、伸びると言われているようですけど…。それで、よくよく、話を聞いてみると、「不器用」な人っていうのは、全てにおいて、時間がかかるけど、一度コツを掴んでしまうと、二度と離すことはない。一段の階段をしっかり登ったら、落ちることは、ないのだそうです。
ただ、自他ともに「器用」だと公言していて、成功し続けている人もいます。例えば、ダルビッシュ選手…。彼の周りの人に言わせれば、「アイツは、器用,不器用とかじゃなく、"研究熱心の鬼"なんだよ」…。
たぶん、「プロ」って、コツを掴む世界だと思う。僕は、「器用」ってのは、アドバンテージで、マイナス的要素はないと思う。ただ、周りに、「不器用」な頑張り屋さんが1人いた方がイイと思う。
江川と西本みたいなカンジ…。なんか、いいなぁ。

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